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INTERVIEW 専門の先生に聞いてみました。

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【第5回】喘息治療薬をきちんと続けて毎年の花粉の時期にも症状をコントロールしましょう。

下田 照文 先生 国立病院機構 福岡病院 臨床研究部長

今年もまたつらい季節がやってきた…スギ花粉が飛び始めると、鼻がムズムズ。花粉症だけでなく、喘息の症状も出てくるという方が多いのではないでしょうか。

今回は、どうして花粉の季節に喘息が悪くなるのか、そしてどうしたら悪くならずに過ごせるのかを喘息と花粉の関係に詳しい下田先生に教えていただきました。

コメンテーター

下田 照文 先生

国立病院機構 福岡病院 臨床研究部長

 

喘息の症状は花粉症の症状より少し遅れてやってくる

毎年、スギ花粉が飛ぶ季節になると、咳などの症状が出て来院される喘息患者さんが増えてきます。花粉症の鼻水や目のかゆみは花粉がたくさん飛んでいる日に強くなりますが、喘息の症状はそれよりも少し遅れて数日後に出てくる方が多いようです。

花粉症でも咳が出ることがあるので、咳だけだと花粉症の症状の一部なのか、喘息が悪くなったのかわかりにくいですが、わずかであってもヒューヒュー、ゼイゼイという喘鳴(ぜんめい)があれば、その咳は喘息によるものと考えてよいでしょう。

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花粉の季節に喘息が悪くなるのはなぜ?

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喘息の症状は、炎症によって過敏になっている気道に刺激が加わると起こります。

気道というのは、肺の奥のほうにいくにしたがって細くなっていますので、例えば、粒子が小さい(5マイクロメートル※以下)ダニの死骸が混ざったホコリや黄砂などは、気道の細いところ(気管支)まで入っていき、気道を刺激します。一方、スギ花粉は、粒子が30~35マイクロメートルという大きさ。ですから、花粉の多くは鼻や目の粘膜にくっついて、気管支にまで入ってくることはありません。

ではなぜ、花粉が飛ぶ時期に喘息が悪くなるのでしょうか?

それは、「鼻と気管支は、空気の通り道として1つにつながっている」からです。花粉が鼻の粘膜を刺激すると、炎症が起こり鼻炎が起こります。その刺激や炎症が気道へと伝わります。

そのため、花粉症の時期には喘息の症状が悪化するのです。また、花粉症の症状が重い人は喘息の症状も重くなったり、反対にまれではあるけれども、喘息が悪化すると花粉症の症状も強くなることがあります。

※1マイクロメートルは、1ミリメートルの1000分の1。

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気道炎症を抑える治療が、花粉の季節の喘息症状を左右する

花粉が飛ぶ季節に喘息が悪くなる原因には、もう1つ重要なことがあります。

それは、日頃の治療が上手くいっているか?ということです。

症状がなく安定しているときでも、喘息患者さんの気道は喘息ではない人に比べて過敏になっています。その根底にあるのは「気道の炎症」。治療によって炎症をしっかりおさえることができていれば、気道の過敏性もおさえられます。こういう状態になっていれば、花粉が飛んでも喘息の症状は起こりにくくなります。つまり、日頃の治療で炎症がおさえられているかどうかが、花粉の時期に喘息が悪くなるかどうかを左右するのです。

症状がなく安定していたのに、春や秋など1年の決まった時期だけ悪くなる、あるいは風邪をひいたり、運動したときに発作が起こるという方も、実は気道の炎症が十分におさえきれていないのです。

 

吸入ステロイド薬で気道の炎症をしっかりおさえる

「喘息は気道の炎症」というお話をしましたが、喘息の炎症にはアレルギーが深く関係しています。アレルギー性の炎症に有効なのはステロイド薬です。ステロイドというと副作用を心配なさる方もおられるでしょう。でも、喘息の治療では「吸入器」という専用の器具を使って薬を吸い込み、気道に直接薬を届けるので、内服や注射に比べると、ごくわずかな量のステロイドしか必要としません。日本で吸入ステロイド薬が使われ始めてからすでに30年ほど経ちますが、これまでの経験からも、吸入ステロイド薬は全身性の副作用がほとんどないことがわかっています。

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また最近では、吸入ステロイド薬に長時間作用性β2刺激薬が一緒に配合された薬剤も使われています。長時間作用性β2刺激薬には、狭くなった気道をひろげる効果があります。薬の効果の出かたは患者さんによって差がありますが、配合剤は効果の発現が早いという特徴があります。

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吸入ステロイド薬は、症状がおさまっても続けてほしい

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吸入ステロイド薬を毎日きちんと使い続けると、炎症がおさえられて、症状がなくなっていきます。軽症の方なら早ければ1ヵ月、長くてもだいたい半年くらいで落ち着いてきます。さて、その後はどうしましょう?症状がなくなったら薬をやめたいというのは、誰もが思うこと。その気持ちは医師にもよくわかります。でも、大切なのはここからです。

私の患者さんに、「毎年、花粉が飛ぶと喘息が悪くなるけれど、吸入ステロイド薬を使うとよくなります。でも先生、また来年のこの時期に悪くなりますよね」とお話になる方がおられました。

確かに来年も花粉は飛んできます。けれども、また悪くなるな…と思いながら、その時期を待つしかないのでしょうか?症状が出てきたら、吸入ステロイド薬を使えばよいのでしょうか?—いいえ、そうではありません。花粉の時期が過ぎて症状が落ち着いた後も、吸入ステロイド薬を使い続けていれば、来シーズンの花粉に負けない安定した状態にしていくことができるのです。

花粉に限らず、症状が出るかもしれないからと外出や運動を避けたり、行動が消極的になっている方もおられるのではないでしょうか。喘息の治療の目標は、「今の症状をとる」ことだけでなく、「健康な人と変わらない日常生活」を送れるようにすること。落ち着いた時期と症状のある時期をくり返している方、症状が出たときに発作治療薬に頼っている方は、もう一度、かかりつけの先生に喘息の症状について相談してほしいと思います。

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>第13回 お薬をやめたくなっても気持ちを切り替えて、調子が良い時もしっかりお薬を続けましょう。

>第12回 特別編 対談 力富先生「喘息は症状が治まってからが勝負です」平松先生「目標を高くもって、治療しましょう」

>第11回 喘息について、検査について、正しく理解することが治療へのチカラになります。

>第10回 正しい治療を気長に続けることが何より大事。あなたの現在と将来の健康のために毎日の吸入を続けましょう。

>第9回 自分の喘息の状態をきちんと把握して、医師に伝えることが重要です。早めにきちんと炎症の治療をすることで症状をなくしましょう

>第8回 風邪などが原因で症状が出やすいこの季節、毎日の気道炎症の治療が重要

>第7回 気道が敏感な状態がよくなるには、時間がかかります 症状がおさまっても治療をやめずに、抗炎症治療を続けましょう

>第6回 喘息治療は慢性的に起きている「気道の炎症」をしずめるために、調子がよいときも、使い続けることが大切

>第5回 喘息治療薬をきちんと続けて毎年の花粉の時期にも症状をコントロールしましょう

>第4回 喘息は、「生活環境病」 でも、きちんと治療すれば、環境に左右されにくくなります

>第3回 喘息は「動く病気」。適切な治療を続ければ、よい方向に動く

>第2回 夏は症状の落ちつく季節 それでも、喘息は休んでいません

>第1回 喘息の「誤解」をなくし、症状ゼロを目指しましょう