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INTERVIEW 専門の先生に聞いてみました。

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【第4回】喘息は、「生活環境病」でも、きちんと治療すれば、環境に左右されにくくなります。

田中 裕士 先生 札幌せき・ぜんそく・アレルギーセンター/医大前南4条内科 院長

寒さや乾燥、風邪やインフルエンザの流行など、冬は喘息患者さんにはつらい季節。この時期、症状が出るのは仕方ないと思っていませんか?

寒さがきびしい札幌で、喘息患者さんをたくさん診療されている田中先生にお話を伺いました。

コメンテーター

田中 裕士 先生

札幌せき・ぜんそく・アレルギーセンター/医大前南4条内科 院長

 

乾燥は喘息の敵。でも、過度の加湿にも要注意

日ごとに寒さがまして冬の気配が強くなると、風邪をきっかけに調子を崩す喘息患者さんが増えてきます。また、寒くなると暖房を使い始めます。暖房は室内を乾燥させるため、長時間乾いた空気の中にいると、空気の通り道である気道も乾いてカラカラになり、咳が出やすくなります。

こうした冬場の乾燥を防ぐために、加湿器をお使いの方も多いと思います。しかし、加湿器は適切に使わないと、湿度が上がりすぎることがあります。その結果、ダニが繁殖して、喘息患者さんの気道を刺激する要因をむしろ増やすことになってしまいます。

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症状が起きる前、きちんと薬を使っていましたか?

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調子が悪くなって来院する患者さんにお話を伺うと、「このところ調子がよかったので薬を使っていなかった」とか、「薬を使い忘れる日が多かった」という声をよく聞きます。確かに、咳や喘鳴など症状がなければ、“治った”と思いがちです。でも、そうではないというのが、喘息の難しいところ。毎日使う薬をきちんと使っていないというのは、治療が不完全になっていたということです。

喘息というのは「気道の炎症」によって起こる病気です。この「炎症」というのは、火事にたとえることができます。咳などの症状がひどいときは、気道が赤く燃えているようなもの。このときには「消火」、すなわち炎症をおさえる治療が必要です。問題は症状が落ち着いているときです。落ち着いた時期があっても、寒さや乾燥、風邪などをきっかけに再び症状が起きてしまうのは、火が完全に消火されたわけではなく、くすぶっているのです。気道は身体の内部にあるので目には見えませんし、症状がなければなおさら火種が残っていたなんて考えにくいと思います。でも、火種が残っている限り、再び火事が起こる可能性があるわけです。

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調子が悪くなって来院する患者さんにお話を伺うと、「このところ調子がよかったので薬を使っていなかった」とか、「薬を使い忘れる日が多かった」という声をよく聞きます。確かに、咳や喘鳴など症状がなければ、“治った”と思いがちです。でも、そうではないというのが、喘息の難しいところ。毎日使う薬をきちんと使っていないというのは、治療が不完全になっていたということです。

喘息というのは「気道の炎症」によって起こる病気です。この「炎症」というのは、火事にたとえることができます。咳などの症状がひどいときは、気道が赤く燃えているようなもの。このときには「消火」、すなわち炎症をおさえる治療が必要です。問題は症状が落ち着いているときです。落ち着いた時期があっても、寒さや乾燥、風邪などをきっかけに再び症状が起きてしまうのは、火が完全に消火されたわけではなく、くすぶっているのです。気道は身体の内部にあるので目には見えませんし、症状がなければなおさら火種が残っていたなんて考えにくいと思います。でも、火種が残っている限り、再び火事が起こる可能性があるわけです。

 

わずかな量で、効率よく気道の火事(炎症)を消火する吸入ステロイド薬

気道の火事、つまり気道の炎症をおさえるためには「吸入ステロイド薬」が有効です。ステロイドは炎症をおさえる働きが強く、しかもこれを「吸入器」という専用の器具を使って吸入するので、気道に直接薬が届きます。火事を消すのに、燃えていないところに水をかけても意味がありませんよね。これと同じ理屈で、吸入ステロイド薬は燃えている気道に直に“消火用水”をかけています。さらに、火事が起きているところにだけ水をかけるのですから、その量は広く水をかけるよりも少なくてすみます。実際、吸入ステロイド薬で使われるステロイドの量は内服や注射に比べてごくわずかな量です。しかも、内服するステロイドとは種類が違い、血液の中に入ってもすぐに代謝されてしまうので、全身性の副作用はほとんどありません。

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また、吸入ステロイド薬にはいろいろな薬剤があります。薬剤によって、ステロイドの種類や吸入器が違うほか、最近では狭くなった気道をひろげる効果のある「長時間作用性β2刺激薬」という薬剤が一緒に配合されたタイプもあります。どの薬剤が合うかは、患者さんによって違います。私の患者さんの中には、吸入薬を変えたら状態がぐんとよくなったという方もいらっしゃいます。

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症状があることに慣れていませんか?

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ご自身の症状に敏感な患者さんには、「喘息の症状が起こりそう」と感じる状態(初期症状)があります。たとえば、「喉がつまるような感じ」「胸が重い」など違和感を感じる方、あるいは「大声で笑っていたら咳き込んだ」という方などさまざまです。

一方で、強い症状があっても、「こんなもんだ」と思っている方がおられます。先日、自宅の近くの病院が閉鎖になったので、私たちの病院を訪れた患者さんがおられました。診察をしたところ、かなりひどい状態だったのですが、患者さんご自身に「症状はありませんか?」と聞くと、「いえ、これが普通です」とおっしゃいます。患者さんは、症状があることに慣れてしまっていたのでしょう。

そこで、「いえいえ、もっとよくなりますよ」というお話をして薬を変えたのですが、その後、症状がおさまったので、「こんなによくなるんですね!」とびっくりされました。

日頃から咳や喘鳴のある方、風邪を引いた後に咳が長引く方、ちょっと走っただけでも息切れをしてしまう方は、これを“普通”と思わないで、もう一度、ご自身の症状と向き合って、医師に相談してほしいと思います。

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喘息は、「⽣活環境病」

最後にもう1つ。喘息は、原因が複雑な病気です。血液検査でアレルギーの原因を調べても、原因を特定できないことが少なくありません。また、自分がいくら気をつけても、避けられないものもあります。たとえば、低気圧など気候の変化や季節の移りかわり、ほこりや花粉、禁煙になっていない場所など、環境からやってくる原因がたくさんあるからです。高血圧や糖尿病は「生活習慣病」と呼ばれていますが、これに対して喘息は「生活環境病」といえるのではないかと思います。でも、だからといってあきらめないでください。吸入ステロイド薬をきちんと続けていけば、環境に左右されにくい状態をつくることができます。

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最後にもう1つ。喘息は、原因が複雑な病気です。血液検査でアレルギーの原因を調べても、原因を特定できないことが少なくありません。また、自分がいくら気をつけても、避けられないものもあります。たとえば、低気圧など気候の変化や季節の移りかわり、ほこりや花粉、禁煙になっていない場所など、環境からやってくる原因がたくさんあるからです。

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高血圧や糖尿病は「生活習慣病」と呼ばれていますが、これに対して喘息は「生活環境病」といえるのではないかと思います。でも、だからといってあきらめないでください。吸入ステロイド薬をきちんと続けていけば、環境に左右されにくい状態をつくることができます。

>第13回 お薬をやめたくなっても気持ちを切り替えて、調子が良い時もしっかりお薬を続けましょう。

>第12回 特別編 対談 力富先生「喘息は症状が治まってからが勝負です」平松先生「目標を高くもって、治療しましょう」

>第11回 喘息について、検査について、正しく理解することが治療へのチカラになります。

>第10回 正しい治療を気長に続けることが何より大事。あなたの現在と将来の健康のために毎日の吸入を続けましょう。

>第9回 自分の喘息の状態をきちんと把握して、医師に伝えることが重要です。早めにきちんと炎症の治療をすることで症状をなくしましょう

>第8回 風邪などが原因で症状が出やすいこの季節、毎日の気道炎症の治療が重要

>第7回 気道が敏感な状態がよくなるには、時間がかかります 症状がおさまっても治療をやめずに、抗炎症治療を続けましょう

>第5回 喘息治療薬をきちんと続けて毎年の花粉の時期にも症状をコントロールしましょう

>第4回 喘息は、「生活環境病」 でも、きちんと治療すれば、環境に左右されにくくなります

>第3回 喘息は「動く病気」。適切な治療を続ければ、よい方向に動く

>第2回 夏は症状の落ちつく季節 それでも、喘息は休んでいません

>第1回 喘息の「誤解」をなくし、症状ゼロを目指しましょう